Rhupus: a systematic literature review. Autoimmun Rev . 2020 Sep;19(9):102612.
【Take home messages】
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Rhupusとは全身性エリテマトーデス(SLE)と関節リウマチ(RA)の両方の特徴が一人の患者にして順次認められる稀な自己免疫疾患である
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rhupusの病因として、共通の遺伝的背景やTh1分極型のSASPが関与している可能性など、真のオーバーラップを指摘する証拠が増えてきている
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関節リウマチに類似した関節病変がコンスタントに存在する一方で、ループスlikeの関節外病変はSLEに比べて頻度が低く、重症化しない傾向がある
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症例報告やケースシリーズの数が増えているにもかかわらず、SLE関節炎の分類に関するコンセンサスはまだ得られておらず、rhupusの診断基準も存在しない
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この連続的かつ動的なオーバーラップdiseaseの理解を深め、その臨床的・免疫学的表現型を特徴付けるために、最初の症状から長期間のフォローアップ期間にわたって患者を評価する大規模前向き研究が必要である
【背景】
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2つおよびそれ以上の自己免疫疾患がoverlapする現象はよくあり、単一疾患とは症状、予後、治療戦略が異なることもある Lupus Sci Med 2015;2:e000084
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SLEのoverlapはよく見られるが、分類基準がうまく機能しない場合もよくある Adv Ther 2017;34:2481–90.
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“Rhupus” or “rhupus syndrome”はまれで、十分に理解されていないが、一般的にはSLEとRAの両方の症状を特徴とする疾患である J Rheumatol 2009;36:4–6.
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統一された有用な分類基準やフォローアップ、治療戦略も存在しないため、Rhupusの疾患の苦しさというものは未だ十分に知られていない
【本論文の目的】
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rhupusの疫学、病態生理、自然死、治療における最新情報を提供するためのsystematic literature review体系的な文献レビューを行うこと
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また本疾患が自己免疫疾患の中でどのような位置づけにあるのか
【患者と方法】
文献のレビューと包含基準
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「rhupus」「lupus AND erosive」「lupus AND rheumatoid arthritis AND overlap」の用語で、PubMedとGoogle ScholarによるMEDLINE検索
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期間は1980年1月から2019年11月までの”rhupus”の成人症例を含む英語、フランス語、イタリア語、スペイン語の関連する発表論文
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論文中の追加論文を手作業で検索
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報が不完全な論文、小児症例、重複する出版物は除外した
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コホート研究、ケースシリーズ、ケースレポートを分析し、rhupus患者の臨床的、生物学的、demographic features人口統計学的特徴に関する情報を収集した
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またclinical trials臨床試験やprospective and retrospective cohort studies前向き・後ろ向きコホート研究を検索し、治療戦略や病態生理に関する比較データや情報を得た
rhupusの定義
- Systemic Lupus Erythematosus International Collaborating Clinics (SLICC) 2012 の SLE 基準と American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism (ACR/ EULAR) 2010 の RA 基準の両方を満たす報告患者
- 治療によりSLEの特徴が誘発されたと思われる症例は除外した(例えば、RAに対する抗TNF製剤)
患者選択
【文献におけるrhupusの定義】
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1936年・・・FriedbergらはSLEが大小関節の病変を伴うRAを模倣することを初めて強調した Arch Intern Med 1936;58:662–84.
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1950年・・・Daughertyらが関節炎がSLEの診断的特徴として提案した Arch Intern Med 1950;85:900–23.
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このときはSLE-associated arthritis SLEに関連した関節炎は“malignant” rheumatoid arthritis (RA) 悪性関節リウマチ や a “pseudo-rheumatoid” form of SLE SLE の偽RA型と呼ばれていた Clin Rheumatol 2004;23:523–6.
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1960年・・・Toonらは15人の患者においてSLEとRAの併存を初めて報告した Am J Med Sci 1960;240:599–608.
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1971年・・・Shurによって初めて“rhupus syndrome”という言葉が使われた Clin Rheumatol 2004;23:523–6.
最も良く受け入れられている定義(The most frequently accepted definition)
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SLE (SLICC, ACR) と RA (ACR, ACR/EULAR)の両方の定義を満たすものである
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しかし関節びらん 、rheumatoid factor(RF)および抗CCP抗体、抗核抗体(ANA)および抗二本鎖DNA抗体(antidsDNA) 陽性を定義に含める論文もある Lupus 2018;27:2155–60.
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完全で厳しく限定的な定義(The most complete but also most strict and limiting reported definition)
2012年のSLICCのSLEの基準、2010年のACR/EULARのRAの基準を満たし、関節びらん、典型的なSLE様病変、RFまたは抗CCP抗体陽性、ANA陽性、抗dsDNAまたは抗Sm抗体陽性の患者 Lupus 2018;27:2155–60.
【疫学】
- RAと診断されたrhupus患者は、単一RA疾患患者より有意に若い Lupus 2014;23:958–63.
- SLEと診断されたrhupus患者は、単一SLE疾患患者より有意に高齢である Autoimmun Rev 2013;12:537–41.
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SLE患者におけるrhupusのprevalence有病率は0.09% 〜9.7%と非常に多様である Autoimmun Rev 2013;12:537–41.
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最近報告されたものだとprevalence有病率は1.3% や 1.4%であった Lupus 2014;23:958–63
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なぜ有病率がこんなに異なるのか
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the heterogeneity of the inclusion criteria 対象基準の異質性
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the diagnostic approaches to erosions びらんに対する診断アプローチ
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おそらくRAとSLE患者の間でrhupusの診断が大きく下回っているのだろう
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9.7%の報告例は、手首の超音波検査とMRI画像によるerosionsびらんのsystematic screening系統的スクリーニングを受けたSLE患者103人の前向きコホートで報告されたもの
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つまり画像検査が十分でないretrospective cohortsで報告されたSLE患者におけるrhupusの低い発生率は、過小評価である可能性がある Autoimmun Rev 2013;12:537–41.
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old cohorts古いコホート研究ではでは抗CCP抗体の投与量など、いくつかの免疫学的検査がないことが、この疾患の過小診断につながってる一因だろう
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【病態生理Pathophysiology】
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SLEとRAはimmunopathogenic mechanismsが大きく異なる
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RAはTh1 immune responseに大きく関与
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SLEはTh2 immune responseに大きく関与
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rhupusはおそらく異なる要因があり、研究では大きく以下の3つ
- Polarization of immunosenescent T cells 免疫血清T細胞の分極化
- the HLA complex HLA複合体
- hormonal factors ホルモン因子
①Polarization of immunosenescent T cells 免疫血清T細胞の分極化
- SLEとRAの両方でCD4+CD28-null cellsが増加しており、両方の症状におけるthe senescence-associated secretory phenotype (SASP)老化に関連した分泌表現型の役割があると示唆されている。
- この免疫プロファイルはcostimulatory molecule CD28 共刺激分子CD28の発現を欠くCD4+ T lymphocytesのoligoclonalオリゴクローナルな増殖が特徴的である。これはいくつかの自己免疫疾患における病的状態として、また50歳以上の個人におけるphysiological immunosenescence生理的免疫老化のhallmark特徴として観察されてきた Curr Opin Rheumatol 2014;26:93–100.
- Lozada-Navarroらは9人のrhupus患者と9人のSLE patientsのCD4+CD28-null cellsの特徴を比較し、these senescent cellsこれらの老化細胞はrhupus患者ではTh1 phenotypeに優先的に偏向し、非びらん性関節炎のSLE患者ではTh2表現型に部分的に偏向する
- しかしCD4+CD28-null cells と 免疫老化に関与しているosteopontinオステオポンチンのレベルには差はなかった
- したがってrhupusはmmunosenescent cells免疫老化細胞のレベルの違いではなく、CD4+CD28-null cellsのdifferent polarization偏向性の違いと関連している可能性がある
- また、これはrhupus患者に骨損傷をもたらすマクロファージ免疫反応を担うTh1 SASPをもたらすことにもなる
②Genetic factors遺伝的要因
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RAとSLEの共通の遺伝的背景がGenome-wide association studiesゲノムワイド関連研究で明らかになってきている
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HLADRB1, BLK, UBE2L3, PTPN22, STAT4, TNFAIP3, FCGR2A, PRDM1, IRF5, PXK and COG6
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これらはRAとSLEで重複を示す遺伝子座several lociであり、自己免疫や炎症に関する重要な経路に関係している Ann Rheum Dis 2017;76:286–94.
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分子レベルでもinterferon signatureのような共通のメカニズムが分かってきている Ann Rheum Dis 2011;70:2029–36.
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またfamilial aggregation家族性の凝集も存在する BMC Med 2013;11:73.
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The shared epitope (SE)-encoding MHC class II alleles (HLA-DRB1) 共有エピトープ(SE)をコードするMHCクラスII対立遺伝子はRA、SLE、psoriatic arthritis乾癬性関節炎におけるびらん性関節炎発症の危険因子として同定されている
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この共有エピトープにより、関節炎を引き起こすペプチド、特に非標準アミノ酸であるシトルリンを含むペプチドがT細胞に提示され、その結果、これらの疾患におけるびらん性関節炎と直接相関する抗CCP抗体の産生を促進する J Rheumatol 2009;36:4–6.
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Chanらは、びらん性関節炎を持つSLE患者と持たないSLE患者のHLAプロファイルを調査し、HLA-DQB1*0302とびらん性関節炎の統計的に有意な関連(p = 0.01)、HLA-DRB1*0401と共有エピトープの2コピーとびらん性関節炎との関連傾向(それぞれp = 0,5 と 0,1 )が見出した J Rheumatol 2008;35:77–83.
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またHLA-DQB1*0302と2コピーのSEについても、抗CCP産生と同じ傾向が見られた
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rhupus患者のHLA-DR profileにフォーカスした研究もあり、最も頻繁に表れる対立遺伝子はHLA-DR4、HLA-DR3、HLA-DR2であった Ann Rheum Dis 1992;51:173–6.
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他にも、HLA-DR1の頻度がRA患者や健常対照者と比べて高い、HLA-DR2の頻度が健常対照者と比べて高い、HLA-DR3の頻度がSLE患者と比べて低い、HLA-DR7の頻度が健常対照者と比べて低い、といった研究もある。
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rhupus患者における4つの最も代表的な対立遺伝子は、頻度の低い順に、HLA-DR4、HLA-DR6、HLA-DR2、HLA-DR1であった Lupus 2002;11:287–92.
③Hormonal factorsホルモン要因
- 妊娠中は、エストロゲンとプロゲステロンの生理的な増加により、全身レベルでTh1からTh2サイトカインへの極性化が誘導される
- 妊娠3ヶ月は、SLE患者では疾患の再燃、RA患者では一時的な改善につながる Reprod Toxicol 2006;22:234–41.
- 産後はRAを発症または悪化させるリスクが高くなる Arthritis Rheum 2000;43:1010–5.
- Liuらの研究 では、43人のrhupus患者のうち14人(9人は閉経期、5人は産後)がRAと診断され、4人のうち1人は妊娠中にSLEと診断された Lupus 2014;23:958–63.
- Sundaramurtyら[49]によって報告された13人のrhupus患者のうち、SLEからRAへの移行を経験した7人の患者すべて(5人は閉経期、2人は産後)、RAからSLEへの移行(妊娠)を経験した患者1人のみでhormonal eventsが同定された
- SLEとRAの特徴を同時に発症した残り5名の患者には、hormonal eventsは認められなかった J Clin Rheumatol 1999;5:9–16.
【臨床的特徴Clinical features】
Rhupusは1つ以上のループスlikeな臓器病変を伴うRA様関節病変を特徴とする
Joint involvement関節病変
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RA様関節炎はRhupusの主な特徴であり、以下を区別する必要がある Eur J Intern Med 2008;19:482–7.
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Nonerosive nondeforming arthritis非びらん性非変形性関節炎(benign in course経過は良性)
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主に手、手首、膝に発症し、臨床経過は良性でCRP値も低値
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Jaccoud関節症で認められるびらん(primary capsular-ligament involvementによって引き起こされる機械的ストレスに続発する)
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通常、滑膜炎はほとんどなく、CRPが上昇することがあり 、病態機序が異なるため、侵食の分布はRAとは異なる Ann Rheum Dis 1992;51:358–61.
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Rhupus arthropathy
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臨床的にも放射線学的にも典型的なRAに類似した分布を示し、朝のこわばり、関節痛、圧痛、対称性多関節炎の頻度にはRAとの有意差は認められない Lupus 2014;23:958–63.
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最も影響を受ける関節は、手首では橈骨手関節と手根間関節[17]、手では近位指節間関節または中手指節関節(主に5°と2°) Autoimmun Rev 2013;12:537–41.
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SLE患者の発生率と比較すると、Rhupus患者では手関節炎、多関節炎、対称性関節炎、関節腫脹、朝のこわばり、関節変形(いずれもp<0,001)およびリウマチ結節(p<0.005)の発生率が有意に高い Medicine (Baltimore) 2014;93:e49
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腫脹・圧痛関節数は、SLEよりrhupusで多く、rhupusとRAでは数に有意差はない Autoimmun Rev 2013;12:537–41.
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The burden of erosionsびらんの程度に関してはrhupus患者はnonrhupus SLE患者と比較すると、MRI やCTスキャンで高い累積erosive burdenがあり、手首や手の関節病変(joint effusion MRI高信号、synovial hypertrophy滑膜肥大、erosion)の主要超音波パラメータでも高いスコアを示した Arthritis Res Ther 2016;18:222.
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Jaccoud関節症と比較すると、Rhupus arthropathyはより多くの炎症性変化を特徴とする Arthritis Res Ther 2016;18:222.
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Extra-articular involvement関節外病変
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SLE患者と比較すると、rhupus患者は
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SLEDAIスコアが低い Medicine (Baltimore) 2014;93:e49
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全身病変の頻度や重症度も低い Lupus 2014;23:958–63.
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神経障害 、皮疹 、腎障害 、血液異常の頻度が低い Autoimmun Rev 2013;12:537–41.
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rhupus患者に一般的によく起こるSLE症状は血液学的異常、皮膚・粘膜病変、腎臓病変、漿膜炎であり、リウマチ様結節も起こる
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皮膚症状では、麻疹、光線過敏症、脱毛症が最も多く、円板状皮疹はあまりみられない
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腎病変の最も多いtypeは V型(45.8%、n=11)、次いでII型(25%、n=6)、IIIおよびV型(各12.5%、n=3)、I型(4.2%、n=1)あった
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発熱は、あるシリーズでは最大で58.9%の患者におこる Medicine (Baltimore) 2014;93:e49
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まれだが、重篤な神経学的病変として以下の報告あり
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横紋筋炎3例と多発性単神経炎2例 Lupus 2002;11:287–92.
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ループス脳症 Rheumatol Int 2010;30:961–3.
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痙攣 Autoimmunity 2005;38:219–23.
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肺間質性疾患を伴う10例がLiらにより報告あり Medicine (Baltimore) 2014;93:e49
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脳梗塞を伴う抗リン脂質抗体陰性Libman-Sacks心内膜炎の1例は,他のSLE臓器病変のない患者で報告されている Trop Doct 2019;49:309–11.
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レイノー現象や血管炎が現れることはあるが、重篤な合併症はまれ Ann Rheum Dis 1987;46:853–8.
rhupusとその他の自己免疫疾患の合併
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自己免疫性肝炎 Reumatol Clin 2017;13:365–6.
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結節性多発動脈炎 Reumatismo 2015;67:161–4.
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抗リン脂質症候群 Headache 2008;48:155–8. Lung India 2014;31:390–3.
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炎症性筋炎 J Clin Diagn Res 2015;9:OD05–7.
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自己免疫性甲状腺炎 Clin Dev Immunol 2013;2013:697525.
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菊池・藤本病 Lupus 2002;11:287–92.
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再生不良性貧血 Clin Exp Rheumatol 2011;29:708–11.
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全身強皮症とシェーグレン症候群 Clin Dev Immunol 2013;2013:697525.
【生物学的所見Biological findings】
RA-like markers
- CRPとESRは、rhupus患者やあらゆる種類のびらん性関節炎をもつSLE患者では、非びらん性SLEの患者よりも増加する Reumatismo 2012;64:321–5.
- SLE患者の1/4から1/3はrheumatoid factorリウマトイド因子 RF が陽性 Lupus 2018;27:1368–73.
- SLEの関節炎では、抗CCPとRF陽性に統計的相関がある Joint Bone Spine 2009;76:501–7
- びらん性関節炎の患者はRF-negativeよりRF-positiveの頻度が高い Arthritis Res Ther 2016;18:289.
- rhupus患者のRFの有病率はSLE患者のそれよりも有意に高いが、rhupus患者とRA患者の間には有意差はない Lupus 2008;17:300–4.
SLE-like markers
【治療】
少数の少数の臨床試験、症例報告、retrospective cohortsに基づく
Corticosteroids, DMARDs and immunosuppressants
- 副腎皮質ステロイドは、診断時に常に処方
- 報告されている1日の平均投与量は、6.5mg/日から15mg/日の間
- 副腎皮質ステロイドの平均投与量にrhupus患者とSLE患者で差はさまざまで報告によって違う
- mPSLのivはSLE患者よりrhupus患者の方が使用頻度が低い
- よく用いられるDMARDはmethotrexateメトトレキサートで、sulfasalazineスルファサラジン、azathioprineアザチオプリン、leflunomideレフルノミドがそれに続く Lupus 2002;11:287–92.
- Hydroxychloroquineヒドロキシクロロキンは、SLEやRAに有効であることが知られているため、PSLや他のDMARDsと併用して処方されることが多い Reumatol Clin 2013;9:201–5.
- 臓器障害、特に腎障害を抑えるためにcyclophosphamideシクロホスファミド、mycophenolate mofetilミコフェノール酸モフェチル、cyclosporinなどの免疫抑制剤が処方されることもありますが、非常にまれである Medicine (Baltimore) 2014;93:e49
Biologics生物学的製剤
Anti-TNF agents
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抗TNF製剤はRAに広く使用されているが、抗核抗体やSLEを誘発する可能性があるため、SLEにおける役割は議論されており、現時点では推奨はされていない。Medicine (Baltimore) 2007;86:242–51
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だが、1つの小規模臨床試験と非盲検試験で、主に関節、皮膚、腎臓に病変のある患者において、SLEに有望な結果を示している Lupus 2009;18:690–7.
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また、軽度の腎症(組織学的に証明されているが腎不全ではない)を有するrhupus患者20名を対象に、エタネルセプト50mgを2週間ごとにメトトレキサート10mgと週1回皮下投与した場合の有効性がしたnoncontrolled unicentric clinical trial非対照単盲検試験がある Discov Med 2018;25:14–20.
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この併用療法は、4週目にSLEとRAの両方の臨床的・生物学的特徴において有効性を示し、その効果は24週目でも安定しており、DAS28の有意な改善をみとめた
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Abatacept
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現在RAに広く使用されているが、SLE患者におけるその有効性は、関節病変が優位な患者に限られることが分かっている Arthritis Rheum 2010;62:3077–87.
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Methotrexate、Tacrolimus、Cyclosporine AなどのDMARDsを使用しても関節炎が治らないrhupus患者6名に対してアバタセプト投与試験がある Clin Dev Immunol 2013;2013:697525.
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非関節症状に対する有効性は中程度であったが、12週および24週のCDAI(Clinical Disease Activity Index)(p=0.028)、24週のHAQ-DI(Health Assessment Questionnaire-Disability Index)(p=0.043)、12週のCRP値(p=0.046)で有意な改善を認めた
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SLEDAIスコアも12週と24週で減少し、そのほとんどが関節の改善を伴うものであった(p = 0.043)
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全例が24週時点でEULAR奏効基準によるgood(2例)またはmoderate(4例)の奏効を達成した
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Rituximab
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RAでは有効であるが、SLEではいくつかの臨床試験や他の非盲検試験やコホートの結果が一致していないため、その有効性は現在議論中 Arthritis Rheum 2010;62:222–33. Arthritis Rheum 2012;64:1215–26. Rheumatology (Oxford) 2018;57:470–9. Arthritis Rheum 2010;62:2458–66.
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9名のrhupus患者を対象に, 試験開始1カ月前にDMARDsおよび免疫抑制剤(副腎皮質ステロイドを除く)を中止し、1日目と15日目にリツキシマブ1gを投与するAn open-label studyが行われました。有効性は6ヵ月後にDAS28、MEX-SLEDAIscoreで評価した Reumatol Clin 2013;9:201–5.
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平均PSL doseは、12ヶ月のと24ヶ月の時点で、それぞれ11.66mg/日から0.55mg/日と1.11mg/日に減少した
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別の研究では、6人のrhupus患者において、進行中の治療を中止することなく、リツキシマブ1gを1日目と15日目、28週目に投与して評価
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DAS28 スコア (3,95 vs. 5,98; p < 0,01) と必要なPSL dose (10.6 mg/day vs. 15.4 mg/day、p<0.05)、12ヶ月後のSLEDAIスコア(1.3 vs. 7.1、p<0.01)において、有意な改善が認めた。USスコアの低下も観察されたが、有意差はなし Lupus 2013;22:624–8.
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Iaccarino ら は、従来の治療法に抵抗性を示すrhupusに対してリツキシマブを投与した 3 例中 2 例で、DAS28 と SLEDAI スコアの点で良い反応を示したと報告 Autoimmun Rev 2013;12:363–73.
【今後の進行とフォローアップEvolution and follow-up】
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rhupus患者に焦点を当てたprospective large studiesはないので、the long-term natural history本疾患の長期的な自然史はまだ不明である
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しかしMusculoskeletal damageはSLEでがすでに頻度が高く、者の11.7%で報告されていることから、この集団ではheavyと予想される
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rhupus患者のびらんや変形に対する正確な負荷の具合や障害や労働生産性への影響に関するデータは存在せず、この特別な集団におけるフォローアップ戦略もまだ不明である
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SLEやRAの主な活動性スコアや損傷スコアは、rhupus患者に対しては検証されていないが、SLEDAI、SLEDAI-2K、DAS28は、いくつかの主な報告シリーズでループスに適用されており、治療効果を評価するいくつかの研究で臨床エンドポイントとして使用されている RMD Open 2017;3:e000555
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DAS28スコアは、SLE患者のあらゆる種類の関節病変を評価するための選択肢として、すでに提案されている Semin Arthritis Rheum 2017;47:53–64.
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Health Assessment Questionnaire-Disability Index (HAQ-DI)もある研究ではエンドポイントとして使用されている Clin Dev Immunol 2013;2013:697525.
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rhupus患者の臓器障害の進展と死亡率についてはまだ知られていないが、しかしRA患者において、4つ以上のSLE症状を認める場合は、関節炎のみを有する患者に見られる死亡率の2.56倍(95%CI:1.60、4.08)高いリスクと関連していることが示されている J Rheumatol 2009;36:50–7.
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ただ、rhupus患者のSLE様臓器障害はSLEよりも軽度である Autoimmun Rev 2013;12:537–41.
【展望と議論Perspectives and controversies】
- rhupusが、SLEとRAは2つの異なる病態生理学的メカニズムを持つという以前の二項対立的なイメージは、以下によって現在は否定されてきている
- 2つの疾患の共通の遺伝的危険因子の存在を支持するデータ
- SLE関節炎における共有エピトープが示唆
- SLEとRAの両方の症状におけるthe senescence-associated secretory phenotype (SASP)老化に関連した分泌表現型の役割
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RAと同様に高い抗CCP抗体やCRPレベルを認めることが、SLEとは異なる生物学的プロファイルがもう一つの論拠である Rheumatology (Oxford) 2012;51:1521–3. author reply 3
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USやMRIを使用することで、Rhupus関節炎においてRAに類似したのパターンがすでに知られており、SLE患者の他の関節病変のサブタイプとは異なるという特徴が明らかとなっている Autoimmun Rev 2013;12:537–41.
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Icenらによる研究 では、25年間の追跡期間中にSLEの特徴を発現したすべてのRA患者のうち、rhupusが過小診断であることを示している J Rheumatol 2009;36:50–7.
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これはRAの特徴を持つSLE患者においてさらに顕著である
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Taniらは、関節炎の有無にかかわらず、全員がリウマチの専門医による手指超音波検査、X線画像、MRI画像を受けたSLE患者103人の前向きコホート研究 Autoimmun Rev 2013;12:537–41.
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RA基準を満たす患者の有病率は9.7%(n=10)であり、これはこ報告されたSLEコホートの中で最も高い値であった。USとMRIでは10人全員にびらんが検出されたが、X線では6人にしか検出されなかった
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画像検査が十分でないretrospective cohortsで報告されたLES患者のびらんの発生率は、過小評価である可能性がある
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Abatacept Anti-TNF agents CD28 CD4+CD28-null cells HLA-DR RA rhupus Rhupus arthropathy Rituximab SLE エストロゲン ゲノムワイド関連研究 プロゲステロン 共有エピトープ 妊娠