Diagnosis and classification of eosinophilic fasciitis. Autoimmun Rev. Apr-May 2014;13(4-5):379-82.

【Introduction】
- Eosinophilic fasciitis (EF)好酸球性筋膜炎は1974年に初めてShulmanによって報告された以下を特徴とする珍しい強皮症様の疾患である
- induration of the skin 皮膚硬結
- peripheral eosinophilia 末梢好酸球増加
- hypergammaglobulinemia 高ガンマグロブリン血症
- elevated erythrocyte sedimentation rate (ESR) 赤血球沈降速度(ESR)上昇
- 本疾患に性差はなく、epidemic流行性というよりもsporadic散発性の形式をとる Clin Rheumatol 2007;26:1445–51.
- 平均発症年齢は一貫して40~50歳と報告されており、小児期から高齢期まで幅広い Int J Dermatol 2008;47:29–35.
- 人種や家族歴が好酸球性筋膜炎の発症リスク因子であるかどうかはまだ明らかではない
- ただ、HLA-A2優位の家族性集積を示唆するanecdotal evidence事例証拠がある J Rheumatol 2013;40:105.
【Etiology and pathogenesis】
Etiology
-
EFの病因は未だ不明のままであるが、以下の因子が可能性のある要因または関連因子として提案されている Best Pract Res Clin Rheumatol 2012;26:449–58.
-
Hematological 血液学的疾患
-
infectious 感染症
-
autoimmune diseases 自己免疫疾患
-
intense physical exertion 激しい肉体労働
-
chemical compounds 化学物質
-
drugs 薬物
-
solid neoplasms 固形癌
-
physical factors 物理的要因
-

Pathogenesis
-
著者らの中にはaberrant immune response異常な免疫反応が主な発症メカニズムであると提唱しているものもいる
-
その根拠としては以下の所見を認めるためである Semin Arthritis Rheum 1988;17:221–31.
-
末梢血における高ガンマグロブリン血症
-
一部の患者の筋膜におけるIgGおよびC3の沈着
-
-
-
fascia筋膜に浸潤した好酸球は局所的に脱顆粒を起こし、その結果、毒性および潜在的な繊維産生特性をもつカチオン性顆粒タンパク質が放出または組織への蓄積する
-
Tissue inhibitor of metalloproteinase 1 (TIMP-1)もまたEFの病因に関与している可能性がある Br J Dermatol 2004;151:407–12.
TIMP-1 (※英wiki)
- 分子量28kDaの糖タンパク質
- TIMPファミリーの一つであり、細胞外マトリックスの分解に関与するMMPの天然の阻害剤である
- MMPの阻害作用に加えて、細胞増殖促進・抗アポトーシス機能をもつ可能性があるとされている
- TIMP-1の調節不全は発癌に関与する
- IL-5 は好酸球の産生・生存・活性化・接着・脱顆粒に関連した機能をもつ
- EF患者の末梢血単核細胞は、IFN-γ・IL-5・IL-10の産生能力が上昇している J Am Acad Dermatol 2003;49:1170–4.
- granzyme Bを含むCD8+Tリンパ球がEF患者の筋膜と筋肉の炎症性浸潤の一部として検出される
- このことはcytotoxic cellular immune response細胞障害性の細胞性免疫反応であることを示唆している J Rheumatol 2003;30:1811–5.
- さらにCD34 and CD40 antigensの異常な発現はEF患者におけるtissue fibrosis組織の線維症と関連している Ann Rheum Dis 2003;62:190–1.
【Clinical manifestations】
- EFの特徴としては突然発症の四肢疼痛とerythematous swelling紅斑性腫脹である
- 症状は主に左右対称であるが、片側発症の場合もある J Clin Rheumatol 2009;15:247–9.
- 四肢の病変が基本であるが、他の皮膚部位へ影響することもある Best Pract Res Clin Rheumatol 2012;26:449–58.
- Trunk体幹の病変は難治性線維症のリスク因子因子として認識されている Clin Rheumatol 2007;26:1445–51.
- 浮腫は徐々に皮膚の肥厚となり、これは皮下組織と強固に結合している
- 特徴的な所見としては Peau d’orange appearance や “groove” sign がある


- extensive trunk skin fibrosis広範な体幹の皮膚線維症により拘束性の呼吸障害がでることもある

myalgia筋痛やある程度の近位筋力低下も起こり、これはfascia to perimysium筋膜から筋周膜まで広範囲に起こることさえある Med Clin (Barc) 2005;125:145–8.
- 皮膚硬化はjoint contractures関節拘縮 やtendon retraction腱の引き込みをもたらすこともあり、prayer signによりもたらされるのだが、これは筋膜の線維症の重症度を反映する Best Pract Res Clin Rheumatol 2012;26:449–58.
- Morphea-like lesionsモルフェア様(限局性強皮症)病変は患者の約3分の1に認められる
- これらは真皮のより表面の病変によるものと考えられ、また残存する線維症のリスクファクターでもあるため、より集学的治療が必要となる Clin Exp Dermatol 2009;34:e851–3.
- 小関節および大関節の炎症多発性関節炎が患者の40%までに認められる
- 筋肉痛、体重減少、無力症、朝のこわばり、手根管症候群もまた一般的な症状である Best Pract Res Clin Rheumatol 2012;26:449–58.
- 臓器への影響はまれであり、影響が見られた場合は他疾患の除外をすべきである
- しかし以下の臓器病変とEFの関連は報告されている
- restrictive lung disease
- pleural effusion Postgrad Med J 2000;76:36–7.
- pericardial Monaldi Arch Chest Dis 2002;57:311–3.
- renal involvement
- しかし以下の臓器病変とEFの関連は報告されている
- EFはsystemic sclerosis(SSc)全身性強皮症との鑑別はsclerodactylia 強指症がないという点で容易である
- SScでは筋膜は守られ、SScの一般的な特徴はmicrostomia小口症, telangiectasis,毛細血管拡張症 and sclerodactylia強指症であり、これらはEFでは観察されない Am J Med 1990;88:598–600.
【Additional examinations】
EFの診断には以下の補助的検査が有用である
Biological features 生物学的特徴
-
EFの最も特徴的な検査所見はperipheral eosinophilia 末梢性好酸球増多であり、患者の63%~93%に認められる
-
ただ、EFの診断にnot mandatory必須ではなく、疾患重症度とも関連はなく、疾患活動性のフォローアップには有用ではない Best Pract Res Clin Rheumatol 2012;26:449–58.
-
-
CRPやESR、高ガンマグロブリン血症などの炎症マーカーは、半数以上の患者で認められる Best Pract Res Clin Rheumatol 2012;26:449–58.
-
CKの上昇はまれであり、上昇があれば中等度の筋病変を反映している可能性がある Rheumatology (Oxford) 2012;51:557–61.
-
一方、もう一つの筋肉酵素であるアルドラーゼはEFで上昇すると報告されており、疾患活動性の指標として有用である J Rheumatol 1995;22:563–5.
-
抗核抗体は4分の1以下の患者に低力価で検出されることがあるが抗DNA抗体や抗ENA抗体は陰性である Clin Rheumatol 2007;26:1445–51.
-
TIMP-1は、疾患活動性評価の良い血清学的マーカーであると実験で仮定されている Br J Dermatol 2004;151:407–12.
Imaging procedures 画像診断
- MRI:
- EFの診断に最も適した画像診断法と考えられており、筋膜内の信号強度の顕著な増加を示す Ann Rheum Dis 2008;67:572–4.
- また、筋生検の最適な位置を決定するのに役立ち、フォローアップにも有用である
- PET-CT:
- 生検ができない場合、EFの診断のためにPET-CTを施行することは代替案として報告されている
- US:
- 臨床フォローとしての超音波検査も有用 QJM 2011;104:987–8.
- 筋膜には、主にCD8+ lymphocytes (CD4/CD8 ratio <1) マクロファージ、形質細胞の集積がみられる J Rheumatol 2003;30:1811–5.
【Pathological features】
- 病変部位のA full-thickness wedge全厚楔状の皮膚生検で、通常は特徴的な所見を認める
- 好酸球や主要好塩基性タンパクは必ずしも存在するわけではない Dermatology 2006;213:93–101.
- 筋膜は通常、正常の2~15倍厚く、隣接する骨格筋に強固に付着している一方で、真皮および表皮は基本的に正常である
- しかしながら、真皮の病変は、モルフェウス様斑として生じることがある
- 筋膜近くの上皮や筋繊維に沿った筋膜周囲の炎症はよく認められ、これはperimyositis 筋膜周囲炎として知られている (上記の病理像に同じ) Med Clin (Barc) 2005;125:145–8.

【Diagnosis and differential diagnosis】
- EF患者で普遍的に認められた診断基準は存在しない
- ほとんどの医師が下記のような所見を除外した上で、特徴的皮膚病変があればEFの診断は確立できると考えている Dermatology 2006;213:93–101.
(診断前に確認すべき所見)
- the various subsets of scleroderma 強皮症の様々なサブセット
- toxic oil syndrome トキシックオイル症候群
- silica exposure シリカ暴露
- gadolinium administration in patients with renal failure 腎不全患者におけるガドリニウム投与
- L-tryptophan-induced eosinophilia–myalgia epidemic syndrome L-トリプトファン誘発性好酸球増加-筋痛流行症候群
【Treatment】
- 患者の一部は治療せず自然に改善するものもいる
- 自然に改善しない場合はglucocorticoids (0.5–1 mg/kg/day)が主な治療
- 臨床的な改善には数週間〜数ヶ月かかる。その目安としては末梢血の好酸球の消失が前兆となる
- 低用量のMTX(15–25 mg/week)は特に特にモルフェア様皮膚病変を有する患者において好ましい2nd-lineである Rheumatology (Oxford) 2012;51:557–61.